先日も張り切って、一人でジムに行ってきた。
本来ならば金曜日は実家で家事手伝いだが、
今日はお休みなので、せっかくだからとジムに行ってきた。
金曜日の朝イチのジムは、エアロビクス中級クラス。
私にとっては、どうにもこうにも、気が進まないクラス。
というのも、このクラスはベテランの男の先生が担当していて、
他のエアロの女の先生に比べて、なんだか「ゆるさ、がない」という感じ。
もちろん「初級クラス」に比べて「中級クラス」は難しいのはある。
ありますが、それを除いても、難しいし厳しい。
次々に繰り出される動きの数々に、
だんだん頭も体もついて行かなくなるのだ。
「難しすぎるっ。これって、修行なの?」という気持ちになってくるほど。
だから二年ほど前の入会直後に、1度か2度、受けたきり、
「金曜日の朝イチの、エアロ中級はしない」と決意していた。
それなのに。
なぜ今日は行こうと思ったのか。
それは「もしかしたら、今なら出来るかも?」と思ったから。
二年前は本当に、すっとこどっこいな動きばかりしてしまった。
エアロ初級クラスに通っていたが、
周りの人にぶつかりかけたり、
正反対に動いたり、
振り付けに頭がついていかず、一人だけ覚えられずぼーっと突っ立ったり。
どうしてもしんどくなったら、途中でフェイドアウトしたこともある。
ところが、さすがに二年間も続けていると、だんだん上達していったのだ。
人にぶつかりそうになることも、一人だけ違う動きをすることも、
あまりなくなっていったのだ。
そうすると楽しくなるので、張り切って覚えようとするし、
休まず通うようになるので、ますます上達していく。
だから、最近はわりと振り付けも覚えられることが増えて、
先生を見なくても動ける時が多くなった。
そこで今日は思い切って、「チャレンジしてみよう!」となったのだ。
その結果。
なんということでしょう!
先生の動きを見ながら、動けてしまうではありませんか。
先生の振り付けを、覚えられてしまうではありませんか。
このベテラン先生、何度も何度も何度も何度も、
自分の踊りをやめて、私たち会員の方を見て、
動きをチェックする。
本当に、何回も何回も。
その度に、先生をお手本にしていた方々は、動きをストップする。
先生と言うお手本がないので、踊れなくなるのだ。
全員ではないですが、わりと止まる方が多かった。
そんな中で、私はいつものように自分の踊りに入っていたので、
なんと、動けてしまいた。
体が軽く、足取り軽く、ターンもおちゃのこさいさいで。
嘘みたいだった。
二年前に「もう駄目だ、中級は嫌いだ」と投げ出して以来、
どんなに金曜日が暇になっても、かたくなに、そっぽを向いて、
金曜の朝イチのエアロ中級は避け続けてきたというのに。
「どうせ私は、中級は出来ないですよーだっ」といじけていたというのに。
今日の動きの軽やかさはなんなんだろうか。
これが「慣れる」ということなんだろうか。
あのイチロー選手の有名な言葉を思い出す。
「毎日こつこつ努力していたら、気が付いたら、すごいところに来ていた」
「そうか。これか。これなのか。イチロー選手の言っていたことは」
と、大リーガーの言葉を、感慨深く、心の中で繰り返す。
今は、成し遂げた功績の大きさの違いは、ひとまず置いておいて。
「習慣の力」ってすごい、と改めて思った。
ベテラン先生のエアロが楽しくて、先生の方を見ず、
自分の踊りをどんどん踊っていたら、
先生の動きのアレンジが変わったことに気が付かず、
一人だけ浮いていた。
すかさず先生が「先走りすぎですよ」と笑っていて、
どう見ても私に向けられた言葉だなと、
ちょっと恥ずかしくなった。
だけどそんな言葉さえも、楽しく受け止めている私がいた。
今日の私はそんなこと、全く気にしない。
楽しいのだ。
ただ、ただ、楽しいのだ。
もちろん、すべての動きが完璧に覚えられたわけではなく、
全ての動きをトータルで踊る最後の時間は、
振り付けを忘れていることも多々あった。
先生の動きを見たり、周りの方の動きを見たり。
自分一人ではできていなかった。
それでも、なんどか繰り返せば、この中級クラスについていけそうな、
そんな気がしたのだ。
不思議なもので、あんなに苦手だったベテラン先生が、
優しい先生に見えてきた。
「金曜日が空いた時は、エアロ中級クラス、ありだな」
そんなふうに思って、ちょっと得した気分になった。
覚えておこう、と思う。
どんなに大人になって年をとっても、
人って進歩していくものなんだ。
と、いうことを。
ずっと、ずっと、覚えておこうと思う。