冬菜かしこの「ジムと畑とボランティア」の日々

二人娘は小学生、アラフィフママのどたばたな毎日の記録。

【ジム】妊婦さんヨガのススメ

「妊婦さん」と「スポーツジム」。

この2つのキーワードが結びつく人は、

いったい、どのくらいいるのだろうか?

かなり少ないのではないだろうか。

 

しかし。

妊婦さんジム。

私はひそかに「推し」ている。

 

なぜ勧めるのかと言うと、

単純に楽しいからである。

なかなか妊婦さん同士の交流など

無いのが現実だからである。

 

考えてみてほしい。

自分の友達や、姉妹、いとこと、

妊娠時期がかぶることなど、

ほとんどないのではないだろうか。

 

たまたまそういう境遇の人はあっても、

そうそうはないだろうと思う。

とならば自然に、

自分一人で長い妊娠生活を耐えていかねばならない。

 

出産経験者なら分かるだろうが、

妊娠生活は孤独との闘いである。

どんなに疲れていても、

夫の食事を作らなければならない。

つわりで、おえええーっとなっていても、である。

これは、かなり、つらい。

 

毎日毎日、24時間、船酔いで気分悪い状態が、

ひたすら続くのである。

私は妊娠中、ほぼずーっと、これであった。

たまに、つわりが全くない人がいて、

がっくりくる。

「私がどんな悪い事をした?」

と自分の境遇を恨む。

 

そんな妊娠生活に、楽しいひと時を与えてくれる。

それが「妊婦さんジム」である。

正確には「ジムの妊婦さんヨガ」である。

 

妊婦さんなので、毎回、その都度お金を払う。

入会金も月会費もない。

なぜなら、いつ行けなくなるか分からないから。

いきなり、体調悪くて、行けないー、

とか普通にある。

「もうすぐ産まれそうだから」

「もう産まれちゃったから」

とかもあるかもしれない。

そしてそれを責めることは、誰も出来ないのである。

だから、都度会員として、

気楽に始められるという長所もある。

良くも悪くも、しばりがないということだ。

 

そして当然ながら、

集まる人は、おなかの大きな人ばかり。

大体、安定期に入ったであろう、

大きなお腹を抱えている。

程度の差こそあれ、

その動きはどうみても、

「お相撲さん」と似たり寄ったり。

いや。

お相撲さんは実は動きが機敏だが、

こちらは、のったら、のったら、である。

それが実に心地いい。

 

「このポーズをしてくださーい」

とコーチに言われても、

出来る人もいれば、出来ない人もいる。

お腹がじゃまして、

「出来なーい」という人もいる。

すると周りの妊婦さんたちが、

ふふふっと笑みを漏らす。

出来ても、出来なくても、

みんなが常に楽しげである。

 

当たり前だが、

右も左も妊婦さん。

大きなおなかで、よっこいしょっと、

動きの鈍い大きなおなかの人たちが、

うんこらうんこら動いている。

 

私、ちょっとこのポーズしんどいのよねー。

と思っても大丈夫。

右も左も同じような人たちなので、

みんな、なにかしら、

鈍い感じで動いている。

 

そして、コーチも優しいのだ。

それはそうだよね。

相手は妊婦さん達なんだから。

何かあっては大変。

「無理しないでくださいねー」

のコーチの優しい声に、

私達妊婦は癒されまくりだったのだ。

 

ちょっと失敗しても、

きゃはははっ、との笑い声。

ちょっと動きが鈍くても、

あっはははっ、との楽しい声。

何をしても嬉しそうで、

もうすぐママになる喜びを、

みんなで噛み締めていた。

 

和やかだ。

いまどき、これほどの和やかな空間が存在するとは。

そこはもう奇跡としか言いようがない。

そんな空間だった。

 

レッスンが終わったら、

更衣室で着替える。

もちろん、さっさとは、いかない。

うんこらせっと、着替えていく。

そして誰とはなしに、おしゃべりが始まるのだ。

日頃の妊娠話に、

みんながうん、うん、うなづいて、

初対面の人たちだって、

おなじ妊婦と言う境遇なればこそ、

ある種の連帯感が生まれていたのだ。

 

「無事に生まれてほしいね」

誰かの言葉に、うなづく。

みんな、おなじ。

みんな、かんじている。

いつかはお腹を飛び出して、

我が子がこの世に生まれてくる神秘を。

そして、そうなれば、

この「妊婦生活」は終わるのだという事を。

今しかない。

本当に「あかちゃんと一体になっている」という

いまの妊婦としての状態が、限られているという事を。

 

ジムのヨガが終わり、

手を振ってさよならを言って、

それぞれ帰宅の途につく。

「またね」

とはいいつつ、

生まれたら来ないことも、

暗黙の了解だ。

妊婦さんは、いつ終わりが来るか分からない。

 

妊娠生活は、孤独な長距離走だ。

つわりがあったり、

腰痛があったり、

楽しい気持ちと同時に、

しんどい気持ちも、たくさんある。

風邪をひいても、頭痛があっても、

薬はのめない。

おなかの赤ちゃんに影響があってはいけないからだ。

ストレスが溜まっても、

お酒に頼ることは出来ない。

おなかの赤ちゃんに、アルコールは良くないからだ。

ケーキなどのスイーツは、

高カロリーなので、

食べすぎには注意しなくてはいけない。

 

「自分一人の体じゃない」

分かってはいるものの、

その大変さに、そのしんどさに、

気が滅入ることもある。

容赦なくおそってくる不安に、

一時も休ませてくれないつわりに、

心が折れそうになる時があるのだ。

 

だからこそ。

たまにはジムのヨガで、

同じ境遇の人と触れ合うのもいいのでは、

と思っている。

二度とない、「今のお腹の子」との生活を、

楽しんでいけたらと思っていた。

しんどい、しんどい、言うてみても、

いつかは終わりが来るのだから。

ならば、せめてその期間を楽しむ手立てを、

講じてみてもいいのでは、

と思っている。

私がそうであったように、

気分転換できるのでは?と思うのだ。

 

ちなみに。

私がこの妊婦ジムに行ったきっかけは、

「逆子」だったから。

逆子はそのうちもとに戻るから、

と楽観的に言ってくれる人もいたが、

もし治らなければ、

帝王切開が待っていると思うと、

怖くて怖くてどうしようもなかった。

出来ることは全てしておこうと思い

ジムに行ってみることにした。

 

結果、行って良かった。

楽しかった。

私もい頑張ろうっと思えた。

 

何事もチャレンジしてみればいいなと、

そんな風に思った、妊婦さんヨガなのだ。